八丈町営バス 離れ小島のキュービック

八丈町営バス 品川200か2190 キュービック
横間洞門を潜らんとする154号車

東京の南方300km。船室で一夜を明かすと、11月だというのに汗ばむ陽気に包まれた。
かつて東洋のハワイと呼ばれた小さな島で、懐かしい「都営バス」が今なお走り続けている。

八丈町営バス

八丈町営バスの154号車は、その姿からして元都営バスだとはっきりわかる。
東京都交通局に在籍していた頃の車番はE-C184。小滝橋自動車営業所に配置されていた。

八丈町 町章
町章は八丈の二文字を鳥形に意匠化したもの

外観は都バスそのものだ。目立った変化は都のマークが町章に挿げ替えられたことくらい。
ちなみに東京都のシンボルはTOKYOのTの図案化であって、都の木イチョウの葉ではない。

八丈町営バス 車庫
セドリックも都から譲り受けた車両だ

今でこそ交通局は中古車の譲渡を再開したが、154号車の移籍は当時としては異例であった。
既に廃車済みの153号車と共に、2台のらくらくステップバスが島へと渡ったのは平成22年頃。

八丈町営バス 都営バス キュービック
潮風に吹かれる元E-C184

相方は車庫から姿を消したが、154号車は健在だ。しかし寄る年波には勝てないようで冷房がダウン。故に夏場は運用を離脱するという。
修理しようにも、本土に送るだけで数十万を要してしまう。八丈島にカーフェリーは就航していない。

八丈町営バス
西に浮かぶ八丈小島

だから乗るなら冬がチャンスだ。
八丈島のオンシーズンは夏だけど、そんなことは関係ないだろう。154号車は町の中心部を巡る路線に充当されるから、空港も通る。羽田を飛び立てば島まで一時間とかからない。

八丈町営バス 末吉
大坂の峠を越えて

都バス時代は練馬ナンバーを掲げていたが、現在のナンバーは品川200か2190。
ナックルカラーで品川ナンバーとくれば、都心に放り出されたのかと錯覚してしまう。何も知らない観光客はさぞかし驚くことだろう。練馬も品川も人気の都内ナンバーだが、走るエリアは様変わりした。

八丈町営バス
イチョウ柄は都バスの証

都内で元都営バスに乗車する。八丈島のキュービックはそんな変わった経験をさせてくれた。
八丈町の皆様と、この機会を作ってくださった方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。

※154号車は2014年末に廃車された。

八丈島 バス

撮影: 2014年11月

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