モスクワメトロ7号線 Текстильщики~Волгоградский проспект 地下鉄とルノホート

モスクワ地下鉄 Е形 Еж-3 撮影地

座標: ロシア, モスクワ特別市
光線: 午後順光。林が続き影が出やすい。
環境: 人通りはないが、車が屯しており人目あり。
アクセス: チェクスチリシキ駅から徒歩20分、もしくはВолгоградский проспект д.40停留所から2分。

モスクワ地下鉄 新型 モスクワ号
「モスクワ」と命名された81-765/766/767型

紫色のタガンスカ・クラスノプレスネンスカヤ線は、世代交代の真っ最中。ブリキ缶じみたソビエト時代の青い老兵と、もはや共産圏の情緒などない「モスクワ」号が入り乱れている。このまるでヨーロッパの地下鉄のような新型によって、70年代製のЕж-3型は2020年までに淘汰される運命だ。旧ソ連のメトロを知る人なら誰もが覚えているであろう、あの情け容赦のない扉が閉じる音と吊り掛け駆動の鈍い咆哮は、紫線では聞けなくなってしまう。快適にはなるけど、そんなメトロじゃ物足りない。と、たまにしかトロイカをタッチしない私は思う。

モスクワ地下鉄 宇宙列車 Космический поезд
81-760А/761А/763А型のコスモス・トレイン

以前は紫線でも81-760/761シリーズ(愛称はОка)が走っていた。程よく滑らかなオカの車体には、ディテールに凝ったラッピングが施されることが多く、大祖国戦争勝利号極東急行(列車の行き先としては不吉なマガダンやコルィマがテーマ)など数々の名称列車(Именные поезда)が仕立てられてきた。例えばこの宇宙列車もそのひとつで、車体のあちこちにガガーリンの名台詞Поехали!(パイェーハリ・さあ行こう!)が踊り、朽ちることのないソ連の偉業に思いを馳せられる。車内も西側の追随を許さない数々の成果で埋め尽くされており、奇しくも宇宙飛行士オモン・ラーに登場するルノホート(月面探査車)とモスクワの地下で対面できる。これで宇宙列車が作中で描かれる赤線を走行していれば完璧だったが、惜しいことに現在は橙線で運用中。

宇宙飛行士オモン・ラー メトロ Омон Ра Метро
Еж-3型とルノホート2号は同い年

ちなみに、ルナホート(Луноход・月を歩く者)は地球外を走行した史上初の車両だ。人類が初めて他の天体へ送り出した遠隔操作可能なロボットでもある。ルナホート2号が打ち立てた地球外走行距離記録は長年破られず、米国はその壁を乗り越えるまで41年を要した。確かに、月面に足跡を残したのはアメリカが先と言えよう。でも夜空に浮かぶ星に最初の轍を刻んだのは、ラヴォーチキン製の8輪車なのだ。今もルナホート2号は晴れの海にひとり佇んでいて、おそらく車体に掲げられたСССРという四文字は色褪せていない。スターリン様式で彩られたモスクワの地下と同様に、月ではソ連が健在なのかもしれない。

※背景の鉄条網やアクセスの詳細、同じ陸橋から撮れる別アングルが気になったらこちらの記事を。
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撮影: 2017年7月
グーグルマップ上の撮影地一覧


コメント

  1. Hi, seen you mentioning my artworks and pixiv on twitter, thanks! Nice photographs on the blog, too!

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    1. Спасибо! I'm always looking forward your new works. You make me want to go to Moscow. Also, every day I see Tokyo looks more beautiful.

      あなたの作品を見ているとモスクワが恋しくなります。また、いつも目にする日本の風景がより美しく見えてきます。

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